虹色パレット
「もー、あたし頑張ったのにぃ。花嫁修行してるのに」



「は?」



「あたしね、慶ちゃんの恋人に絶対なるから。で、高校卒業したら慶ちゃんの奥さんになるの」



いや、だから嫌だって言ってんだろ。

恋人も奥さんもいらねぇから。


…おい、睨むなよ。

大体、俺がヤクザだってわかったらお前は離れていくだろ。



「はい、食べて!」



もう無理、絶対無理。

それは食べ物じゃない。


でも、食わなきゃ帰れない。


いつまでもここにいたら、こいつは勘違いするだろうし。



深呼吸して、一気に食べた。

用意されたコーヒーで流す。

気分悪くなるような食事は初めてだ。


満足そうに微笑んで、俺の頭を撫でた。


子供じゃねぇんだよ。


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