虹色パレット
帰ろうとすると、相澤は悲しそうに俺の腕をつかんだ。



「じゃ、また明日な」



「…うん」



「…ほら」



家電の番号を紙に書いて、相澤に渡した。



「毎日、電話は無理だろうけど…」



パァッと明るくなって、紙を大事そうに持った。

そんなに嬉しいのか?


携帯番号じゃないんだぞ?



「ありがとう」



「あぁ。じゃ、またな」



「うん、また明日!」



俺が車に乗っても、ずっと手を振っていた。


嬉しそう。


クスッと笑ってしまった。


あいつも、可愛いとこあったんだな。

まぁ、千波みたいに憎たらしいとこもあるけどな。


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