虹色パレット
「で?遅れた理由言ってごらん?」



「いや、あの…生徒がな…」



「女子でしょ」



何でわかるんだよ。

まさか、移り香?



「笹河さん、ワイシャツ!」



鏡で確認すると、あぁ!
あいつ!



「真っ赤な唇の跡かなぁ?」



あの馬鹿!
わざとやったな、あいつ!

落ちなくなるだろーがっ。



「まぁ、いいわ。ほら、昨日話してたことやるよ」



話とは、千波の子供につける名前のこと。


女だったら、千波が決める。


男だったら、俺が決める。


最初、そんなことを言われた時は驚いた。


俺は血が繋がっていないのに。

いいのか?って聞くと、笹河さんならいいよって言った。



『笹河さんがいなかったら、きっと中絶してた』



馬鹿だな。

俺が何言っても、決めるのはお前だから。


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