虹色パレット
「笹河さん、買い過ぎ。ふふっ」



「い、いいだろ」



「あ、そうだ。今度、病院行きたいんだけど、一緒に来てくんない?」



「わかった」



「ありが……あれ、これって」



妊婦には必要だろ?

服と胎教にいいっていう曲が入ったCD、本を買ったんだ。



「ありがとー!!」



よかった、喜んでくれた。

俺は千波の腹に手を当てた。



「早く生まれてこいよー」



「じゃないと、笹河さんが泣くから早くねー」



千波はお菓子を食べながら、腹をさする。

もう母親だな。


…あ、母親で思い出した。



「学校どうしたんだ?」



「辞めることにしたの。でもね、後悔してないよ」



そうか。

笑顔で言う千波の頭を撫でた。


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