虹色パレット
「…千波、大丈夫か?」



「う、うん。あ、Thank you…」



男はニコッと笑って、千波を俺に渡してきた。


俺は知ってる。


この男を。


相澤の家で見た、あの金髪男。



―そして、こいつは―



「Bye」



そう言って、去っていった男。

……あいつは…。



「笹河さん?」



「帰るぞ。吐き気がする」



「え?」



「胃が痛いし、帰って寝たい。明日、早起きするんだろ?」



千波を引きずるようにして、ホテルに戻った。


どうして、あの男にいらついてんだ?


どうして…頭の中がぐちゃぐちゃになってるんだ…。


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