虹色パレット
そして、記憶を失った。



「笹河さん、お酒臭いからお風呂入って」



起きてすぐに千波が、にっこり笑ってタオルを渡してきた。


…怒ってる?



「ちな……うっ…」



頭が痛い。

気持ち悪い…。

二日酔いかよ…。



「早くお風呂入って。着替えて式場に向かわないと」



「ん…あぁ」



シャワーを浴びて、冷たい水で顔を洗い、アイスコーヒーを飲んで、着替えて…。


やっと。


頭がはっきりしてきた。



「はいっ、行くよ!」



少し大きめのパステルカラーのドレスをふわりとさせて、俺の手をつかんだ。



…ちょっとだけ、美人に見えた。


いや、ほんのちょっとだけ。


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