虹色パレット
「親の決められた相手で、笹河さんみたいな人で…最初は、好きになる努力して…でも、本気で好きになれなかった」



俺に寄り掛かって、ぽつりぽつりとつぶやいた。

俺は、ただ立ち尽くしてるだけ。



「結婚の理由は…あたし…乳ガンになって、片方失うことになったの。笹河さんに嫌われたくなかった…だから」



思わず、抱きしめてしまった。

諦めたはずの恋。



「俺が、そんなことで嫌いになるって…?馬鹿だろ、お前」



強く、強く抱きしめた。

痛いほど強く。


悲しみと喜びが一気に押し寄せてきた。



「ずっと、好きだったんだぞ、俺は」



「あたしだって、大好きだもん…」



もし、できるなら…俺はこいつを日本に連れ戻して…。



< 379 / 400 >

この作品をシェア

pagetop