虹色パレット
もう二度と、俺は誰かを離したくない。

もし、いつか誰かが飛び立ちたいと言うのなら、俺はちゃんと送り出そう。



「じゃあ、行きましょうか」



「はい、組長」



死ぬまで俺は、組長を。蒼空を。千波を。千雪を。波紀を。

今まで関わってきた人達を守っていきたい。



そう思えるようになったのは、今まで色んなことがあって、色んな人間と出会って、色んなことを知ったからだろう。



そして、新しい自分に出会えたのも…。



「楽しみですねっ」



「はい、あ…組長」



「はい?」



「ひとつ、お願いが」



「何ですか?」




―たったひとつ、あなたに―




「これから先も、ずっと組長でいてください。ずっと家族でいてください」



「…はい!!」




始まりがあるのなら、終わりがある。


終わりがあるのなら、始まりがある。


叶うと思うから叶う。


叶わないと思うから叶わない。



「ありがとうございます」



さよならなんて言わせない。


嫌いだなんて言わせない。


絶対、好きだと言わせてやる。




雲が太陽を追い詰めて、隠していく。


俺と蒼空のようで、笑えてきた。



空を見上げ、早く離婚しろと願いながら、走る組長を追いかけた。





【完】




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