虹色パレット
「お、本物がいるなぁ」



ハゲたオヤジが俺を見てつぶやく。



「ねぇちゃん、笑顔は大事だぞ」



うるせぇ、誰がお前みたいなクビになってハゲた中年オヤジに笑顔やらなきゃなんねぇんだ、コラ。



俺は必死に右腕を押さえた。


あー…。


このオヤジがまた何か言ったら、この右腕…。



「触っていい?」



はい、キタ。
このハゲオヤジっっ!!



殴らせてくれ。
一発でいいんだ。


マジで、マジで一発!



「慶ちゃん…殴ったら、どうなるか分かってんでしょ」



「触るなら、こっちのゴリミにしてください」



五竜を指差して言うと、ありえないとでも言いたげに首を横に振った。


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