虹色パレット
俺は目を閉じた。

こいつになら、刺されてもいいと思った。


俺は、間橋を死なせてしまったんだから。


「さ、笹河さん…」


「千波、先に行ってろ」



「やだ。絶対、やだ。ちょっと、あんた!卑怯じゃない!」



龍平を睨んで近づいてくる千波をどうにか止めないと。

こいつを巻き込むわけにはいかない。



「卑怯者!」



「俺が卑怯者なら、こいつは殺人犯だよ」



俺の太股を軽く切って、龍平は笑った。

一瞬の痛み。



「次、会うとき……お前の大切なものを奪ってから苦しめてやるよ。じゃあな、親友」



………大切なもの………ね。


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