あひるの仔に天使の羽根を
:プロローグ:
子供というのは――。
無邪気であるが故に何よりも残酷で
無知であるが故に何よりも愚かで
賢ぶっても所詮は大人の真似事で。
――約束する。
相手が何者であるのか
何を契ったのか一切理解しようともせず
それによって惹起されるものを予想すら出来ず
ただひたすら、己の好奇心を満たすためだけに。
そう――。
世界を限定させ、歪めさせてしまったのはあたしの罪。
――芹霞ちゃあああん。
……ねえ、櫂。
――芹霞ちゃん、大好き。
あたし本当に櫂が好きだよ。
櫂がどんなに泣き虫でも、櫂がどんなに意気地なしでも。
あたしだけを頼よりきる、天使のように可愛い櫂が本当に大好き。
……ねえ、櫂。
『醜いあひるの子』のように、
例え櫂がどんなに醜く、どんなに周りから嫌われていようとも。
あたしは櫂を見捨てたりしない。
櫂を1人にさせないから。
櫂の為ならあたし――
どんな姿になっても構わない。
櫂の存在があたしを生かす糧。
櫂とあたしが巡り会ったのは、
必然的な、運命的な事象なの。
だけどそれは――…。
ねえ――
擬態はいつか真実になるの?
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