あひるの仔に天使の羽根を
それが何故日本に在ったのかは判らねえけど、魔術師レグは、屍食教典儀っていう、黒の書の親戚みたいな…"食う"ことで力を得られるという怪しい魔書と、魔術を授け、そして各務翁は偶然に天使を見つけた。
それは翼を生やした有翼人種。自らの欲を膨らました彼は……藤姫の影響もあるだろうが、永遠をもたらすその肉体を独占して増殖する為の…実験を兼ねた飼育場を確保するため、"約束の地(カナン)"を作ろうとした。
各務翁に接触した魔術師レグ。
探していたモノを各務翁に横取りされ、逆に追放までされた可哀相な男で、妻子の為に平凡な人生を生きようと細々と暮らしていたが、ある停電を契機に、各務翁の召喚に呼応して、共に"約束の地(カナン)"を作る。
"約束の地(カナン)"では、黒の書にも繋がる悪魔を崇拝しているらしい。
レグの思惑を紐解こうと思えば、妙な暗号文章にぶち当たって、真意は判らない。
レグは日本語名で"刹那"、学者でありプログラマー。お得意の重力子とかいうもので"約束の地(カナン)"を変形させて電力供給システムを作ったらしい。
"刹那"っていう名を持つ奴は、レグだけじゃねえ。
芹霞が13年前に会っているという、各務の次期当主である久遠の弟もそうだが、今その姿は一切無く、誰に聞いても謎のまま。
そして此の地にいる…他2人の刹那。
此の地でイクミが話し相手になっていた娘シキミは、実は元々死んでいて、イクミが接していたのはレグのプログラム…人工知能の突然変異したものらしい。
どんな原理かは判らねえが、停電によって不可思議な現象が起きた。
それは"約束の地(カナン)"の支配を目論む、刹那という名の教祖となり、裏から神父達を動かし、そして今、"約束の地(カナン)"の電気系統を支配している。
2人目の刹那は、地下牢に繋がれていて、各務現当主樒の想い人の白髪の老人らしいが、樒は何故か"贖罪"と称して鞭振るっているとのこと。
ここまでの謎は、
「レグの"約束の地(カナン)"設立に至る思惑。今レグは何処にいるのか。シキミの声を須臾にしたのは何故か。当主樒が密会する地下牢の刹那は何者で、樒はなぜその老人をそう扱うのか。だな」
櫂が要約した。