あひるの仔に天使の羽根を
・至近2
***************
「芹霞、俺だけを求めろよ!!」
櫂の掠れきったその声が、抑圧されたあたしの心を裂き、
「うわあああああ」
あたしは涙を抑えることが出来なかった。
――芹霞ちゃあああん。
あたしの櫂。
あたしだけの櫂。
あたしだけが櫂の永遠で、櫂だけがあたしの永遠で。
――芹霞。
紫堂の櫂となって、あたしに一線引いた櫂。
あたしだけで世界が回らなくなった櫂。
櫂が好きなら、あたしは我慢しないといけない。
我慢しないと櫂の横には居られない。
櫂を求めてはいけない。
だけど――
もし、櫂が欲しいんだって言っていいのなら。
もし、我慢しなくてもいいと言ってくれるのなら。
それがひと時でも、許されるというのなら。
「櫂、離れちゃ嫌だああああ」
あたしの防波堤は崩れて。
「あたしと永遠約束したじゃない!!!
ずっと一緒にいるって言ったじゃない!!!
なのに、なんであたしを捨てて違う処に行くのよ!!?」
憂いの含んだ切れ長の目があたしを見つめて。
切なそうにあたしの頬に手が添えられて。
あたしは――
その手を払った。
「芹霞、俺だけを求めろよ!!」
櫂の掠れきったその声が、抑圧されたあたしの心を裂き、
「うわあああああ」
あたしは涙を抑えることが出来なかった。
――芹霞ちゃあああん。
あたしの櫂。
あたしだけの櫂。
あたしだけが櫂の永遠で、櫂だけがあたしの永遠で。
――芹霞。
紫堂の櫂となって、あたしに一線引いた櫂。
あたしだけで世界が回らなくなった櫂。
櫂が好きなら、あたしは我慢しないといけない。
我慢しないと櫂の横には居られない。
櫂を求めてはいけない。
だけど――
もし、櫂が欲しいんだって言っていいのなら。
もし、我慢しなくてもいいと言ってくれるのなら。
それがひと時でも、許されるというのなら。
「櫂、離れちゃ嫌だああああ」
あたしの防波堤は崩れて。
「あたしと永遠約束したじゃない!!!
ずっと一緒にいるって言ったじゃない!!!
なのに、なんであたしを捨てて違う処に行くのよ!!?」
憂いの含んだ切れ長の目があたしを見つめて。
切なそうにあたしの頬に手が添えられて。
あたしは――
その手を払った。