あひるの仔に天使の羽根を
 
あんな子供に、私の思考が遮られる。


私の把握出来ない処で、何かが膨れ何かが鬩ぐ。


それは足場の安定感を切り崩すもので。


だから――


馬鹿蜜柑を探索しようと思ったのだ。


あのままあそこに居れば、


私の思考が浸食される気がして。


何に――?




――そう思いながら慎重に歩いていれば。




「あ!? 桜!!?」




特段見たくもない、


特段会いたくもない、


特段話したくもない、


面倒この上ない、


目ざわりこの上ない、


胡散臭くも鮮やかな……

橙色がこちらを振り向いた。


私はその無事な姿を見ると、1つ大きな深呼吸をして、






「てめえの耳は飾りかッ!!?


いい加減にしろ、この腐れ蜜柑ッ!!!」






高く跳躍しながら――


踵落としを食らわした。


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