あひるの仔に天使の羽根を
「お母様!!?」
突然――
その声を上げたのは、須臾ではなく。
もっともっと、嗄(しゃが)れた声。
派手派手しい色のストールを身体に纏った、猫背の老女。
皺だらけの顔、窪んだ目。髪の黒さがやけに作為的で。
見覚え在る。
この老女の顔の造作、髪の形。
これは――
「醜い顔をさらすな、
――…樒ッッ!!!」
そう――
須臾と名乗る女は、彼女を母だと呼ぶ…樒と名乗る老女に怒鳴った。