あひるの仔に天使の羽根を
「いっっっってえ~ッッ!!」
馬鹿蜜柑は蹲り、後頭部を摩った。
恐らく。
力加減をしているとはいえ、私からの攻撃受けて、この程度で済むのは馬鹿蜜柑くらいなものだろう。
普通の人間なら間違いなく、良くて脳障害を起こしているはずだ。
「お前ッ!!!」
馬鹿蜜柑は涙目で私を詰ったが、私は平然と見下ろす。
「何で俺ばっかり殴るんだよッ!!!」
馬鹿過ぎる発言が、私に油を注ぐ。
「てめえ以外に、殴られるような馬鹿な奴がいるかッ!!!?」
もう一発、踵落としをお見舞いする。
いまだ――
櫂様と玲様と同じ地平に立っている気でいるのだろうか。
何とも愚かで、嘆かわしい。
「玲様が行くなって言ってた森に、
何で居るんだ、てめえはよッ!!!」
ああ、腹立たしい。
馬鹿蜜柑はきょとんとした顔をしている。
「え?
玲がいつ、行くなって言った?」
この馬鹿は。
私を怒らせる天才かもしれない。