あひるの仔に天使の羽根を

・行動 櫂Side

 櫂Side
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「じゃああの魔方陣は、カバラにおけるセフィラ、だからここの主要箇所への経路は複数あったのか?」


玲の声に、俺は頷いた。


「恐らくは。魔方陣の力と生命の樹の力。2つ合せれば、死者も生き返るだろう。それが…レグの真の狙い」


「…桜ぁ、お前、櫂の言っていること判るかあ?」


「櫂様。確かにレグはユダヤ神秘主義の知識と力を持つ魔術師でしょうが、なぜ各務を生かす措置を講じたのでしょうか。彼は散々痛い目に遭っているはず。こんな土地で各務を生かさずとも…天使略奪も出来たはず」


「桜ってばぁ……」


「それは各務翁と示し合わせの上のものだったんでしょうか。もし"蘇生"が、各務翁の欲であるならば、彼は何故いないのでしょう?」


「無視すんなよ、桜ぁ……」



「――…!!!

うるせえんだよ、馬鹿蜜柑ッ!!!

馬鹿は馬鹿なりに空気を読んで黙ってろッッッ!!!」



すると煌はむっとした顔で芹霞の居るソファの背後に赴くと、ソファの背に拗ねたような顔を…顎を乗せ、伸ばした片手の指先で、芹霞の頬をつつき始めた。


「お前が居ればなあ…。早く元に戻れよ、俺…すげえ寂しいんだよ、なあ芹霞ぁ。俺やっぱお前だけだよ……」


冗談にも思えぬほど、切なく掠れきった煌の声に、



「視界に…腐りきったその色が目障りだ!!!

黙って視界からとっとと消え去れッッ!!!」



どうも、桜の機嫌は相当悪いらしい。


煌はとうとういじけて、部屋の隅にしゃがみ込むと、指先で"の"の字を書き始めてしまった。


俺は偶然目が合った遠坂に合図を送り、小さく丸まって沈み込む煌を引き摺ってきてもらった。




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