あひるの仔に天使の羽根を
「……そこまで嫌がらなくてもいいだろう?」
「いやいや、嫌がるどうかのの問題じゃないから!!!」
「じゃあどんな問題だよ?」
少しばかりむっとした口調でそう聞けば、
「オ、オトメの事情!!! ……だからあたしを離せってば!!」
その時、むふふふふという声が聞こえて。
「神崎、エッロいな~」
「エ、エロ!? 何であたしがエロ!!?」
「むふふふ。紫堂にとってはいい傾向、紫堂以外にとっては悪い傾向。神崎、今更じゃないか。キミ達は幼馴染なんだろ、今まで散々ひっついてきて何今更」
「ゆ、由香ちゃん!!! 語弊がありまくり!!! 服在るのとないのとでは同じ"ぎゅう"でも意味合い違うから!!!」
「どんな意味合いさ?」
「~~ッ!!!」
「神崎のエ・ロ。真っ赤っか~」
「違うわよ、真っ赤になるエロは煌専売だから!!! あたしは違うの、違うんだからね、櫂!!? な、何で笑うの? 違うんだから!!!」
芹霞は――
面白くらい動揺していて。
「如月~? 師匠だってエロだぞ? 流し目だけで女の子妊娠しちゃうし」
「え!? 玲くんって子持ちなの!?」
「そうそう、だから神崎もいつかはお母さんに……はいはい、判ったよ、紫堂。キミはどうして冗談通じないのかね。場を和ましているんだろう、ボク!!」
そんな和ませ方はいらん!!!
「ねえ櫂。どっか怪我でもしたの?」
突然芹霞の顔が真剣なものになり、俺の顔を摩りながら聞いて来た。