あひるの仔に天使の羽根を
何故――
私ははっきりさせたがっているのか。
その時。
私の視界に、派手に切り倒された大木を見つけて目を細める。
切り口をみるからに、鋭利な刃物で一太刀だろう。
敵――か?
私が警戒で身を固くさせると、
「ああ、それ、鎌だわ」
馬鹿蜜柑が平然とそう言い放った。
「森の中ずっと、妙な罠ぱかりでよー。
それは落ち葉に仕掛けがあって、踏んじまった途端にあっちの木から、物凄え大鎌が振ってきて、1鎌であの大木がその通りさ。
それ以外でも、地面から槍突き出たり、穴掘ってあったり、丸太や大岩が落下してきたり。だけど俺にとっちゃ、緋狭姉の修行体験あるからさ、そんな罠に引っかからないし、片っ端から解除したぜ?」
威張って、満足そうに言うけれど。
「解除?」
確かに、煌の足取りを追った私に罠は見当たらなかった。
「てめえ……何勝手なことしてやがんだよッ!!!」
「は!?」
私の怒りが判らない馬鹿蜜柑。
「罠というものは、必要性があるから仕掛けるもんだろッ!!!
てめえ、独断で何解除してやがんだよッ!!?
此処での罠なんて、こっちの領域に入れたくないからじゃねえかッ!!!」
「!!!」
「――ああ、ほら見ろ」
次第に大きくなる、私達以外の複数の気配。
10や20のものじゃない。