あひるの仔に天使の羽根を


何故――


私ははっきりさせたがっているのか。



その時。



私の視界に、派手に切り倒された大木を見つけて目を細める。


切り口をみるからに、鋭利な刃物で一太刀だろう。


敵――か?


私が警戒で身を固くさせると、


「ああ、それ、鎌だわ」


馬鹿蜜柑が平然とそう言い放った。


「森の中ずっと、妙な罠ぱかりでよー。

それは落ち葉に仕掛けがあって、踏んじまった途端にあっちの木から、物凄え大鎌が振ってきて、1鎌であの大木がその通りさ。

それ以外でも、地面から槍突き出たり、穴掘ってあったり、丸太や大岩が落下してきたり。だけど俺にとっちゃ、緋狭姉の修行体験あるからさ、そんな罠に引っかからないし、片っ端から解除したぜ?」

威張って、満足そうに言うけれど。


「解除?」


確かに、煌の足取りを追った私に罠は見当たらなかった。


「てめえ……何勝手なことしてやがんだよッ!!!」


「は!?」


私の怒りが判らない馬鹿蜜柑。


「罠というものは、必要性があるから仕掛けるもんだろッ!!!

てめえ、独断で何解除してやがんだよッ!!?

此処での罠なんて、こっちの領域に入れたくないからじゃねえかッ!!!」


「!!!」


「――ああ、ほら見ろ」


次第に大きくなる、私達以外の複数の気配。


10や20のものじゃない。




< 108 / 1,396 >

この作品をシェア

pagetop