あひるの仔に天使の羽根を
・揺蕩 桜Side
桜Side
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目の前には新たな魔方陣。
その前に私は立ち、裂岩糸を握りしめる。
忌々しい魔方陣。
芹霞さんの身体を蝕む邪なものを、本当は目茶苦茶に壊したい。
再現不可能なほどに破壊し尽したい。
だけど。
「OK、桜。様子見ながら行こうか」
遠坂由香を通して櫂様と連絡をつけた玲様は、優しげな口調とは裏腹に、緊張感漂う端麗な顔を私に見せた。
「いいか、桜。まずはそっとだぞ、そ~~っと」
両手を上下に動かすような身振り(ジェスチャー)で、煩い程しつこく言ってくる馬鹿蜜柑。
芹霞さんと魔方陣が連携していると判った途端、赤ん坊を諭すような口調で私に接してくる。
絶対、こいつの中での私の位置づけは、"格下"に違いない。
腹立たしい気分を抑えながら、私は玲様だけの指示に従い、魔方陣を加える力を強めていく。
「……。ん。芹霞は大丈夫そうだな」
「本当か!!? 良かったよ、俺以外頭が良くて。この調子で走り回れば、間に合う!!!」
しかし玲様の表情は晴れていない。
「玲様、問題でも?」
「いや……櫂も、まだ納得していない部分があるようだ」
「え?」
「レグの作った人工知能なら、何らかな情報の欠片を集めて、この紙に辿り着いてもいい気がする。もし、その上で策を講じていなかったのなら」
「私達の行動は、既に読まれている、と?」
玲様は頷いた。
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目の前には新たな魔方陣。
その前に私は立ち、裂岩糸を握りしめる。
忌々しい魔方陣。
芹霞さんの身体を蝕む邪なものを、本当は目茶苦茶に壊したい。
再現不可能なほどに破壊し尽したい。
だけど。
「OK、桜。様子見ながら行こうか」
遠坂由香を通して櫂様と連絡をつけた玲様は、優しげな口調とは裏腹に、緊張感漂う端麗な顔を私に見せた。
「いいか、桜。まずはそっとだぞ、そ~~っと」
両手を上下に動かすような身振り(ジェスチャー)で、煩い程しつこく言ってくる馬鹿蜜柑。
芹霞さんと魔方陣が連携していると判った途端、赤ん坊を諭すような口調で私に接してくる。
絶対、こいつの中での私の位置づけは、"格下"に違いない。
腹立たしい気分を抑えながら、私は玲様だけの指示に従い、魔方陣を加える力を強めていく。
「……。ん。芹霞は大丈夫そうだな」
「本当か!!? 良かったよ、俺以外頭が良くて。この調子で走り回れば、間に合う!!!」
しかし玲様の表情は晴れていない。
「玲様、問題でも?」
「いや……櫂も、まだ納得していない部分があるようだ」
「え?」
「レグの作った人工知能なら、何らかな情報の欠片を集めて、この紙に辿り着いてもいい気がする。もし、その上で策を講じていなかったのなら」
「私達の行動は、既に読まれている、と?」
玲様は頷いた。