あひるの仔に天使の羽根を


「緋狭姉!!?」

「緋狭さん!!?」

「緋狭様!!?」



予想すらしていなかった…今、此の場の出現に、誰もが狼狽の情を隠せぬ中、



「主そっくりの笑い方になってきたな。

まあ……

あの腹立たしい…胡散臭いものでない分、まだマシだがな」



私の脳裏に過ぎるのは、青の色彩。


燃える緋色と反対色でありながら、何処か溶け込む不思議な色。



「昔から……元老院となった今でさえ、我が主をそこまで言えるのは、貴方様しかいませんね。

さすがは…我が主と双璧とされる紅皇。

先刻は、大変ご無礼仕(つかまつ)りました」



そう――…


榊は、緋狭様に恭しく頭を垂れた。

< 1,088 / 1,396 >

この作品をシェア

pagetop