あひるの仔に天使の羽根を
「緋狭姉!!?」
「緋狭さん!!?」
「緋狭様!!?」
予想すらしていなかった…今、此の場の出現に、誰もが狼狽の情を隠せぬ中、
「主そっくりの笑い方になってきたな。
まあ……
あの腹立たしい…胡散臭いものでない分、まだマシだがな」
私の脳裏に過ぎるのは、青の色彩。
燃える緋色と反対色でありながら、何処か溶け込む不思議な色。
「昔から……元老院となった今でさえ、我が主をそこまで言えるのは、貴方様しかいませんね。
さすがは…我が主と双璧とされる紅皇。
先刻は、大変ご無礼仕(つかまつ)りました」
そう――…
榊は、緋狭様に恭しく頭を垂れた。