あひるの仔に天使の羽根を


「てめえ、どう責任とるんだよッ!!!」


煌はがしがしと橙色の頭を掻くと、


「全部叩き切ればいいじゃねえか」


褐色の瞳に好戦的な光を称えて、耳の太陽石のピアスを手にした。


「数が多けりゃ多いほどいいんだよ、今の俺はな」


「てめえの都合に付き合う暇はねえんだよ。

さっさと済まして帰るぞ」


私もテディベアを抱き、その黒曜石の目を指で触る。


がさがさと葉が揺れる音。


四方八方から放たれる殺気。


殺気の対象は私達なのだろうか。


それともあの子供達なのだろうか。


そして――。



「あ!?」



馬鹿蜜柑が素っ頓狂な声を上げた。



「桜ッッ!!!

お前、裂岩糸に顕現出来るかッ!!?」


「!!!」


出来ない。


今までこんなこと、ありえなかった。


私の武器――裂岩糸も、

煌の武器――偃月刀も。


私達の守護石は何も顕現しない。


何の反応もない。


――力が……出ない。月長石も応答無い。何だよ、これ。


「――ッ!!!

"約束の地(カナン)"のせいか!?

俺等の守護石も駄目なのか!?」


煌が声を上げた。

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