あひるの仔に天使の羽根を
・警戒
**************
多分――
邪痕と呼ばれるものの拡大と皆が奔走しているのは、関係があるだろうこと容易に想像ついたから、余計な口出しをせず大人しくしようと思った矢先、唐突に現れたのは青過ぎる男。
揶揄した軽い言葉遣いの間は、胡散臭い"蒼生ちゃん"。
表情までも酷薄なものに変われば、誰もが恐れる最強"氷皇"。
その切り替えスイッチが何処にあるのかいまだ判らぬあたしは、櫂に対しての理不尽な扱いに、ただただカッとなって。
何であたしの櫂が、そこまでされないといけないんだ!!!
あたしの櫂を何だと思っているんだ!!!
怒りフツフツ、気づけば本人以上に憤っている。
2ヶ月前。
この男のせいで、誰も彼もが痛い目にあった。
更に。
煌も陽斗も、この男の下で逃れられぬ闇を背負う羽目となった。
一筋縄ではいかない狡猾さと、異常過ぎる強さ。
足1本で、あたしの大好きな人達が大怪我をする様を、ただじっと見るしか出来ない…そんな無力さを植えつけたのもこの男だ。
そしてその後の紫堂に優遇措置を図ったのも、此の地で玲くんを救出してくれたのもこの男。
更には、緋狭姉の"腐れ縁"。
敵か――
味方か――。
あたし如き弱小な存在では、瀬良蒼生という人物を推し量ることが出来ない。
しかし幾らあたしが憤れど、あの櫂が、以前のような抗する態度を見せなかったことは、そうせざるをえない"何か"があったからに違いない。それは恐らく櫂の私情とは無関係に。
櫂は。
従わせられる側の男ではない。
そして。
櫂の目には、漲(みなぎ)る戦意がある。
諦めていない限り、あたしの櫂は…潰されない。
あたしが、潰させない。
だからあたしは。
その意味込めて、胡散臭い笑いをまた顔に貼り付け始めた、青い男を睨み付けた。
…あたしの決意は、"あははは~"で即流され、更に腹立たしくて仕方がないけれど。
多分――
邪痕と呼ばれるものの拡大と皆が奔走しているのは、関係があるだろうこと容易に想像ついたから、余計な口出しをせず大人しくしようと思った矢先、唐突に現れたのは青過ぎる男。
揶揄した軽い言葉遣いの間は、胡散臭い"蒼生ちゃん"。
表情までも酷薄なものに変われば、誰もが恐れる最強"氷皇"。
その切り替えスイッチが何処にあるのかいまだ判らぬあたしは、櫂に対しての理不尽な扱いに、ただただカッとなって。
何であたしの櫂が、そこまでされないといけないんだ!!!
あたしの櫂を何だと思っているんだ!!!
怒りフツフツ、気づけば本人以上に憤っている。
2ヶ月前。
この男のせいで、誰も彼もが痛い目にあった。
更に。
煌も陽斗も、この男の下で逃れられぬ闇を背負う羽目となった。
一筋縄ではいかない狡猾さと、異常過ぎる強さ。
足1本で、あたしの大好きな人達が大怪我をする様を、ただじっと見るしか出来ない…そんな無力さを植えつけたのもこの男だ。
そしてその後の紫堂に優遇措置を図ったのも、此の地で玲くんを救出してくれたのもこの男。
更には、緋狭姉の"腐れ縁"。
敵か――
味方か――。
あたし如き弱小な存在では、瀬良蒼生という人物を推し量ることが出来ない。
しかし幾らあたしが憤れど、あの櫂が、以前のような抗する態度を見せなかったことは、そうせざるをえない"何か"があったからに違いない。それは恐らく櫂の私情とは無関係に。
櫂は。
従わせられる側の男ではない。
そして。
櫂の目には、漲(みなぎ)る戦意がある。
諦めていない限り、あたしの櫂は…潰されない。
あたしが、潰させない。
だからあたしは。
その意味込めて、胡散臭い笑いをまた顔に貼り付け始めた、青い男を睨み付けた。
…あたしの決意は、"あははは~"で即流され、更に腹立たしくて仕方がないけれど。