あひるの仔に天使の羽根を
「判っていないはずはないだろう? 君の大事な誰も彼もが、偶然にも全員が全員、死に目に会っている。これからの最悪事態の君、芹霞ちゃんを含めてね。
死なない程度に生かされて、最終段階(ステージ)は大混戦だ。あははは」
「……必然?」
切れ長の目が細められる。
同時に、藍色の瞳が僅かに揺れた。
「シロの奸計はアカを凌駕する。お前如きの思考など筒抜けだと思え。今、それに対して、シロが策を講じていないのは、それをしなくてもよい事実があるからだ。
抵抗すらみせない現実、その意味することが判るか?」
嘲るような笑みに…間近で見上げる櫂の顔は強張っていて。
「必要なんだよ、お前達の"その行動"が。
既に、お前達は取り込まれている。
――…シロの計画に」
酷薄めいた声音を向けられた、櫂からは返事はなく。
「ゲームなんだよ、紫堂櫂。
それこそがKANAN、それ故に10人。
全ては二元論、だからこそ意味を持つ"約束の地(カナン)"、そして邪痕だ」
青い男は、くつくつと笑った。