あひるの仔に天使の羽根を
「"約束の地(カナン)"の本質は"生命の樹"ではなく、"邪悪な樹"。
俺達は1人1人がクリファ…その意味合いを強め、そしてまんまと白皇の奸計にのって動いていたのか? 望み通りに。
生命の樹が"死者を生かす術"だとすれば、邪悪な樹は"生者を死なす術"。俺達が命の危機に瀕したのはその為か?」
「んー、半分は正解かな。君達が死に目にあったのは、もっともっと人間臭い理由だ。この上なく馬鹿げた…ね。それが――」
藍色の瞳が俺を射る。
「俺が此処に居る理由だ。
俺はアカ程優しくないものでな」
元老院としての氷皇の立場。
それは俺達が死に目にあっていたことに繋がるのか。
「白皇…か?」
「結局…白皇って人、何したいの???」
困り顔の芹霞の…質問を受けたのは青い男。
「二元論を超えた先にある、完全なる"アダムカドモン"の構築。
だからこそのカバラさ、ははははは」
「…!!! だけどどうして"白皇"だ? 藤姫の指示か、それは?」
「あはははは。藤姫は確かに"約束の地(カナン)"構想に力を貸したけどね、レグを裏切って他の元に走った。まるでリリスのようにね」
「どういうことだ?」
「想像はついているんじゃない、紫堂櫂。陽斗は藤姫の子供だった。此の地には陽斗と酷似した者がいる。しかも陽斗同様敵視している」
「藤姫の…子供か。司狼と蓮は…陽斗の妹弟だと?」
すると氷皇は笑い出す。
「逆さ、逆。陽斗より先に生まれたんだよ、それぞれ双子としてね」
凄く――
ひっかかった。
「"それぞれ"――?」