あひるの仔に天使の羽根を
それでもやはりアラが多く、動きは粗雑で。
玲様のような優雅さはまるでなく。
櫂様のような無駄のない動きとは到底言えず。
素早さは私の方が確実に上で。
そんな煌を見ていたら、私は傍観者でいられなくなって。
「お前ッ!!!」
私は命令される覚えはない。
私だって、櫂様を護る紫堂の警護団の警護団長だ。
裂岩糸がなくとも、こんな素人に負けるはずはない。
私達は背中合わせにして、数多い敵に構えを取る。
煌のおかげで数は大分減ったけれど、それでも敵は引く様子もないらしく。
依然、殺気立って私達を捉えている。
空は薄暗くなっていて。
逃げ切ることは出来る。
だけどここまでの侵入を許したツケは、払わないといけない。
私達がいなくなったとしても、あの子供達は残るのだから。
殺気の餌食になって、無事でいられるはずはない。
それは正義感なのか、贖罪なのか。
判らぬまま、私達は戦闘に入った。