あひるの仔に天使の羽根を
だけど緋狭姉、この調子で行けば楽勝だな。いつ鐘なるのか判らないけど。
話をそらそうと、楽天的に言いのけた俺に、
『いや……事態は依然逼迫(ひっぱく)している』
緋狭姉の硬い声が響いてきた。
途端に俺は不安になって。
確かに悪状況だから緋狭姉が来たんだろうけれど、だけど緋狭姉が居るから大丈夫だろうと考えていた俺は…正直焦る。
なんで、どの辺が逼迫?
『魔方陣の破壊だけでは終わらぬのだ』
は?
『玲から聞いておらぬか、重力子』
レグが研究していたっていう奴か?
『この土地は、重力子の力により…"反転"する』
はあ!?
反転って…ひっくり返るのか!?
『上下感覚がおかしい部分があったろう?』
俺の頭には、"生き神様"の居た場所。
地下なのに月が見えている塔。
『玲の計算を超え、"垂直"時よりも早い速度で変形しているのだ』
何のために?
『此の土地に施した"生命の樹"の意味を逆転するために』