あひるの仔に天使の羽根を
お、それよか、その"邪悪の樹"で"ひっくり返る"ってどういう意味?
『生命の樹に並べられた魔方陣がひっくり返って…"邪悪の樹"の意味合いになる』
で?
『生命の樹として蓄えられた力が、そのまま"邪悪な樹"の力となる。それはつまり…正邪合一。完全なる者の"復活"を意味している』
あ?
『ただの復活だけですめばいいんだがな、問題は芹霞だ。芹霞の邪痕に外部作用的に生命の樹の力が反映しているのなら、それが邪悪なる樹に変わった時、どうなると思う?』
俺の脳裏には、悪いことしか思い浮かばなくて。
『2つの力が合わさって芹霞に投射された時、耐え切れぬ芹霞の身体は弾け飛ぶ』
何だって?
『須臾が何もしなくても、芹霞の身体は壊れる。だから須臾は安心して放っているのだ。
壊れないようにする為には、まずは地形が変わる前に、"生命の樹"の力を失わせる。いや…違うな、生命の樹の力を芹霞の身体に転写して、此の地の生命の樹の力を一旦失わせる』
転写?
『ああ、それが魔方陣破壊だ。あれは魔方陣の力を破壊しているわけではない、芹霞の身体に刻み込んでいるだけだ』
何で、芹霞がそんなこと…。
そんな俺のぼやきは、
『私の妹だ。普通とは違うだろうよ…』
それだけを述べて。
『刻み込むには、生命の樹の仕掛け人たるレグの示した順序で進めるしか他ない。全ての魔方陣が破壊終わったら、今度は裏側にある"邪悪の樹"の破壊をせねばならぬ』
破壊!!? 10個またか!!?
ありすぎだ、魔方陣!!!
何で裏側にも貼り付いてやがるんだ、魔方陣!!!
「しかも…恐らくは…二元論に基づいての…同時破壊になるだろうな。
紫堂や魔術のような力と…物理的な力と。
さすがにこれだけの広い土地ともなれば、私もアオも同時に10個同時破壊は出来ん。
かといってお前達を分散させて、"同時"に出来るか判らん。
さて…どうしたらよいか」