あひるの仔に天使の羽根を
「さて……此処からが"混沌(カオス)"領域。ふむ。"無知の森(アグノイア)"への扉は開けられているようです。だとしたら、彼らの移動は完了しているようだ」
何故――
こんなに嫌な予感がするのか。
ひっそりと…静まり返った中、その静謐さに…どうして殺気にも似た敵意を感じてしまうのか。
そしてその嫌な予感は、榊によって形を浮き彫りにされて。
「……いますね。
狂犬くんとあの子"以外"の存在」
榊もまた、警戒に目を細めたから。
慎重に足を運ぶ。
そして――足を止め、言葉を呑み込んだ。
「!!!」
目の前で飛び交う殺気。
そして荒い息遣い。
僕の目の前には……
司狼と戦う…煌の姿があった。