あひるの仔に天使の羽根を
「!!?」
私と煌は唖然とするだけで。
正直――
こんな大鎌、片手で持ち上げるのも難しい。
「ぶんぶんぶ~ん♪」
鼻歌交じりでそれを振り回し、生じた風は周囲に亀裂を返し、次々に大木が倒されていく。
派手な音をたてて、ドミノ倒しのように崩れる大木は、完全に追手を巻き込み倒れていく。
更に新たなる追手が来た処で、障壁となってくれるだろう。
「終わり~。行こ~?」
月は大鎌をひょいと棄てた。
……ような動作で、豪快な地響きをたてて大鎌は地殻に埋もれた。
それを気にもしていない月は、スキップをしながら先頭に立った。
「おい、ドコに行くんだよ、チビッ!!!」
煌が訊けば、
「月はチビじゃないもんッ!!!」
月は口を尖らせた。
「チビはチビじゃねえか」
「違うもん~」
「嘘つくな、ドチビ」
「月、ドチビじゃないもんッ」
――まるで。
子供同士の会話だ。
こんなに身長差はあるのに、精神年齢は大して変わりがない。