あひるの仔に天使の羽根を
――カラーン。
「――…虚勢で終わるな。
完璧に収めろよ、気高き獅子」
いつになく…真顔で。
そこに…一筋の悲哀の情が横切ったように思えたのは…多分気のせいだろう。
「蒼生ちゃん、行っちゃうの!!?」
悲痛な芹霞の声。
「君の大事なカイクンが大丈夫だというなら、大丈夫なんじゃない? 助けてって泣きついてきたのなら、条件付きで助けて上げないこともなかったけれど、ここまでふてぶてしく貪欲さ見せつけられたら、俺びびっちゃってさ~」
何が"びびる"だ。
楽しそうな顔をして。
――カラーン。
「役目役目ってうるさいからね、俺は俺の役目を全うするよ。ではでは。楽しい地獄の旅を。あはははは~」
そして煩い青い男は部屋から消えて。
「……櫂」
芹霞が震える声を抑えて、俺の服の裾を摘んだ。
「あたし達は…永遠だからね?
覚えておいて。
万が一櫂に何かあったら…あたしが叩き起こしに行くからね?」
それは絆。
誰にも断ち切れない、俺と芹霞の繋がり。