あひるの仔に天使の羽根を

・拒絶

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櫂が…行ってしまう。


あたしの櫂が、須臾と行ってしまう!!!



大丈夫だと。


永遠だと。


何度口にしても拭いきれない不安に、あたしは衝動的になり、


「須臾!!!」


あたしは、あたしから櫂を奪おうとする女に怒鳴る。


驚いたような顔をして振り向くのは櫂。


「……何?」


心底嫌そうな…険阻な顔つきで振り向いたのは須臾で。


櫂の背に添えられた、その手を見ればむかむかして。


「言ったよね、あたしだって譲れないものがあるって」


言葉が…上手く見つからない。


"あたしの櫂を取らないで"


"櫂はあたしだけの櫂なの"


どんな言葉も、虚しく流れてしまう気がしたから。


懇願も主張も、絶対的な力を持たないことが判っていたから。


だけど。


あたしの口から出てきたのは、挑発的な言葉。


折角櫂が。


どんな魂胆があるにしろ、あたしの為に我が身を犠牲にしようとしているのに、あたしはそれをどうしてもすんなり受け止めることが出来ない。


受容出来ない。



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