あひるの仔に天使の羽根を

・愚鈍2 煌Side

 煌Side
****************


「きゃはははは♪」


相変わらずの脳天気な笑い声響かせていたチビの声が、ぴたりと止まると同時――


「!!!」


俺は顕現した偃月刀を、強く握り直す。


此のタイミングで、こんな場所に佇んで居るなんて、絶対狙っているとしか思えねえ。


「……何しにきたよ、チビ陽斗」



金色の髪。

金色の瞳。


白い神父服を着た司狼が待ち構えていた。


「随分と遅かったね。早くしないと、鐘鳴っちゃうよ?」


まるで味方のような口振りで、放たれる敵意という名の殺気は半端なく。


チビはじっと司狼を見ていて。


「久しぶりだね、顔付き合わせるのは」


邪気に満ちた無邪気な笑いを見せたチビ陽斗に、チビの表情は一切無く。


判っているのかいないのか。


それすら不明な虚無の顔。


俺には子供の心なんて理解出来るわけねえ。



「彼らに協力することが、"何を"意味するのか判ってる?

ねえ…旭?」


その名に驚いた俺は、


「こいつは"きゃははは"の月だろうが、双子のな」


思わずそう正してしまったのだけれど。


「はははは。違うよ、彼女は月のフリした"旭"。蓮の双子さ」



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