あひるの仔に天使の羽根を
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魔方陣破壊という役目を終えた私達は、司狼を担いだ緋狭様と別れた後、玲様を探して合流することにした。
慌てて煌の元を去ったという玲様の行動の意味が判らず、玲様は櫂様の身を案じて"神格領域(ハリス)"に戻ったのか、別の意図があったのか、推測するに十分な材料は無いため、緋狭様の指示通り、"とりあえず"地上に出ることにした。
"中間領域(メリス)"をすぐに望める…"無知の森(アグノイア)"の端。
地上のこの道を通るのは初めてだったが、人家が疎らに見えるようになっても人影はなく、不気味な空気に包まれていて。
中途半端に舗装された道を歩いているのは私達2人。
だけど周囲から視線を感じる。
突き刺すような、舐(ねぶ)るような視線。
人家から、私達の様子を覗っているのだ。
恐怖?
好奇?
侮蔑?
どれとも判断しがたい感情は、決して好意的ではないのだけは確かで。
「男、だからか?」
煌が面白くなさそうに、橙色の頭をがしがし掻いた。
「俺達が"無知の森(アグノイア)"に居た時に襲ってきた男達の姿もないな」
ああ、無感情の気味悪い仮面を被っているような男達のことか。
「大体あいつら、何処にいるんだろう」
"約束の地(カナン)"という地における主要箇所には、男が住めそうな場所は神父の閨しかなく。では神父以外は何処にいるのかと訊かれれば、答えられないのが現状。
それに対して女達は何も思っていないのだろうか。
そんな時だ。
――ガラーンガラーン
止んだはずの鐘の音が、狂ったように鳴り響いたのは。