あひるの仔に天使の羽根を
「素人女相手に、何もたついてるんだよ!!?」
私は怒鳴りながら、その手を強引に引っ張れば、巨体がぽんと飛び出してきて。
まるで巨大な大根…いや、ニンジン堀りのようだ。
「お前の動きがマジ素早すぎなんだって!!!」
「プロの自覚しろ!!! 言い訳するな!!!
それともてめえ、詐欺師にでも転職するか、ああ!!?」
返せ。
少しでも、劣等感を感じたあの時間を返せ!!!
「はあ!? 何で詐欺師!!?」
「いいから、早く動けッッ!!!」
苛々が募った私は――
煌の襟首を乱暴に掴んで、夢中で走った。
嫌だ。
こんな男が兄弟子なんて、絶対に。
こんな手のかかる男に敬意なんて払いたくない。
じゃあ見捨てておけばいいのにそれが出来ない私は、
もしかすると…煌以上に愚かしい存在なのかも知れない。