あひるの仔に天使の羽根を
・痕跡 櫂Side
櫂Side
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目の前で須臾が帯を解いていく。
それに表情を崩しているのは芹霞だけで。
各務の連中は身動ぎ1つしない。
恐らくは――
彼らの頭の中は、それ処ではない"喜悦"で一杯なのだろう。
何れ来る…いや、もう既に幸せの予兆を感じているのか。
「かかかか櫂!!?」
馬鹿だな、芹霞。
俺が他の女に心動くはずがないだろう?
裸だからなんだ。
そんなもの…唯の風景の一部にしか過ぎない。
お前以外に反応する…俺の"男"は何もないんだ。
"女"の裸に悦ぶのは、"あいつら"だけで。
そう、これは"あいつら"に油断を誘うもの。
俺が今見たいのは、須臾の裸ではない。
背中に現れるという巫子の証。
「さあ――どう?」
純真な初々しさなど微塵もなく、安っぽい商売女のように…豊満な肉体を誇らしげに披露始める須臾。
そんな女に、俺がつけたという赤い…罪の名残は、俺の愚かさを象徴する"後悔"の痕跡以外の何ものでもなく。
出来ればあの皮膚ごと、一切合財剥がしてやりたい心地だ。
絶対俺がつけていないと断言できる位置にも、真新しい痣はあり…直前のサバトというものがどういう類のものだったのか、容易に想像できた。
俺もまた、魔女に群がる男の1人と数えられたかと思えば、腸が煮えくり返る思いだ。
「あるでしょ? "聖痕"は……」
くるりと俺に背を向けて。
見せられたその背中には――
うっすらと…何かの大きな痣は、確かに存在している。
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目の前で須臾が帯を解いていく。
それに表情を崩しているのは芹霞だけで。
各務の連中は身動ぎ1つしない。
恐らくは――
彼らの頭の中は、それ処ではない"喜悦"で一杯なのだろう。
何れ来る…いや、もう既に幸せの予兆を感じているのか。
「かかかか櫂!!?」
馬鹿だな、芹霞。
俺が他の女に心動くはずがないだろう?
裸だからなんだ。
そんなもの…唯の風景の一部にしか過ぎない。
お前以外に反応する…俺の"男"は何もないんだ。
"女"の裸に悦ぶのは、"あいつら"だけで。
そう、これは"あいつら"に油断を誘うもの。
俺が今見たいのは、須臾の裸ではない。
背中に現れるという巫子の証。
「さあ――どう?」
純真な初々しさなど微塵もなく、安っぽい商売女のように…豊満な肉体を誇らしげに披露始める須臾。
そんな女に、俺がつけたという赤い…罪の名残は、俺の愚かさを象徴する"後悔"の痕跡以外の何ものでもなく。
出来ればあの皮膚ごと、一切合財剥がしてやりたい心地だ。
絶対俺がつけていないと断言できる位置にも、真新しい痣はあり…直前のサバトというものがどういう類のものだったのか、容易に想像できた。
俺もまた、魔女に群がる男の1人と数えられたかと思えば、腸が煮えくり返る思いだ。
「あるでしょ? "聖痕"は……」
くるりと俺に背を向けて。
見せられたその背中には――
うっすらと…何かの大きな痣は、確かに存在している。