あひるの仔に天使の羽根を
どうする?
どう切り抜ける?
そんな時だ。
俺は"それ"を感じて、小さく笑った。
そして、拘束された両手を高く上げる。
迷いなどなく。
「さすがは鼻が利く」
疾(はし)る風。
そして――一閃。
「なあ――…煌?」
偃月刀を構えた橙色。
「俺は人間だっつーの!!!」
そして俺の両手から――重い枷が落ちた。
「桜!!!」
「はいッ!!!」
名前を呼んだだけで了解したとばかりに――
俺の周囲の襖という襖は、全て裂岩糸によって切り刻まれ…
「!!!」
扉の奥に控えるのは、各務の給仕達。
そしてそれに混ざるのは、紫色の神父服を身に着けた男達。