あひるの仔に天使の羽根を
そして飛び出す2人の暴れ具合は、いつになくキレと速さがあって。
そして息が合っている。
何だろう――
一皮剥けたような…伸びやかさが際だって。
成長、したのか。
2人の…未知数の可能性を、心から嬉しく思う。
俺が相対するのは、荏原。
久遠から、詠唱の声は続いている。
だけど判る。もう少しだ。
だから少なくともそれまで、俺が止められれば。
「大人しく…須臾様に選ばれればいいものを」
荏原の悲哀めいた響き。
「そこまで――
そこの女が必要か、
――…レグ
いや……
"白皇"――?」
俺は、荏原という名の老人に言った。