あひるの仔に天使の羽根を
「美しい男じゃないと駄目。美しい男は私を美しくもしてくれるから。母様はね、愛した男が醜かったのよ。だから私は美しい男と……」
そして舐め回すように櫂を見て、久遠を見て――悲鳴を上げた。
「いやあああああああ」
「今度は恐怖の対象? 泣き叫ぶオレを何度も組み敷いたのは母さんなのに。勝手に産んだものに気を狂わして記憶を無くして、全てなかったことにして。…美しい男を漁ってバラして人形に入れて寝るなんて…異常だよね」
久遠が、唾棄するように言い放つ。
「子供を産む資格ないよ、アンタ」
それは憎しみで。
「もっと子供を愛せば? オレのように」
そして久遠は1歩前に足を踏み込み、片手で押し出すようにして須臾を突き飛ばせば、須臾は空高く舞い上がり――
「……り、けり……」
大人しく頭部をまだ食べ続けていた"生き神様"の前に堕ちて。
「いやあああああああ!!!」
その醜悪な我が子を目にして――
まるで断末魔のように絶叫した。