あひるの仔に天使の羽根を
「……そうだな、行こう」
それを堪えられる櫂はすげえと思う。
俺だったら駄目だ。
俺が櫂だったら、此処で芹霞を組み敷くだろう。
身体だけでも繋がってやると、強硬手段に出てしまう。
"繋がり"を求めたいのは櫂だけじゃねえんだ。
どんな些細なことでも、普通以上の"何か"が欲しいんだよ。
それは自分が安心する為だけの自己満足にしか過ぎねえのかも知れないけど、他人を欲するってことはそういうことだろ?
人と同じような扱いは受けたくねえんだ。
永遠じゃなくてもいいよ。
だからせめて弾くなよ。
確かに俺は情けねえ面しているけれど、久遠に比べるまでもない造りの奴だけど、見た目だけで判断しないでくれ。
俺にしか出来ねえことあるだろ?
俺しか理解出来ねえことだってあるだろ?
俺とお前の間にだって、普通じゃねえ"絆"があったんだよ。
それを無効化してもいいくらい、俺ってどうでもいい奴か?
俺はそこまで頼りねえか。
俺の存在って、そこまで小さいか。
ああ、悔しい。
強くなったら…お前は俺を向くか?
いつもみたいな笑顔を向けてくれるか?
今のお前が、俺のことどう思っているか判らねえけれど、
それでも過去の栄光に酔いしれるのなら。
俺、またお前にキスを貰いてえよ。
お前が動かずに居られない…そんな俺になりてえ。
後発的な記憶なんて無関係に、お前の本能が求める…そんな男になりてえよ。
過去切り離してもいいから、今の俺を求めて貰えるように。
なあ、俺を受け止めてくれよ。