あひるの仔に天使の羽根を
「このまま生かされていても、利用されるだけならば。いっそ…双月牙の力で幻術を切り裂くのがよかろう」
「幻術!!?」
「それがあの男…お前達の言う白皇の力。"生命の樹"や"邪悪の樹"の力を駆使して、別の事象を違和感なく繋ぎ合わせる。私も…術中にいたらしいがな」
幻術なら。
それなら芹霞だって…。
「その女は違う。邪痕の主には、その力は効かぬ」
俺は唇を噛んだ。
「さあ、行け!!!」
俺達は走る。
「ありがとう…蓮」
そんな芹霞の声が聞こえたような気がした。