あひるの仔に天使の羽根を

・懸念 玲Side

 玲Side
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櫂から僕への注文は2つ。


1つは"断罪の処刑人"を櫂に連れること。


久遠という存在に導かれたのは必然の理。


初めて僕が彼に"中間領域(メリス)"で会った時、久遠の首に返り血があったから。


高揚した瞳の色。


あの場所にそんな久遠が居たこと自体不可解で。


何より僕は彼から、普通ではない香りを感じ取っていたんだ。


尋常ならざらぬ世界に身を置く僕の、勘だ。


櫂の要求2つ目は、紫堂の人工衛星を動かすこと。


東京のマンションにおいて、僕が作ったメインコンピュータで創出する結界が、対敵用に警戒レベルをMAXとする時、人工衛星から…その多大な力を結果力として家を防護するような仕様になっている。


その衛星は本当に緊急事態でしか動かせないし、過去動かしたこともない。


セキュリティー解除とめまぐるしく変わる秘密暗号(シークレットコード)の解析の他、更にレーザー放射となれば、威力・速度、目標物の正確な方向の割り出しだ何だと、簡単に出来るものではなく。


判っているくせに要求突きつけた櫂の無茶ぶりに、それしか方法がないのだと僕も悟り、由香ちゃんに助力を請いて、とにかく急いで事を進めた。


即座に衛星に結びつけた櫂の破天荒ぶりには正直驚いたけれど、付き合い長い僕らだ。その櫂が僕に頼んだということは、僕はそれに応えられると見込まれていたはずで。


ならば、やらねばならない、どんなことをしても。


10個の魔方陣同時破壊が不可能だ思われる要因は、物理的な力によるものの解決策がなかったから。だとしたら、局所を狙い撃ちできる衛星からの発射は確かに最適だ。


"約束の地(カナン)"がいかに紫堂の力を弾こうとも、衛星のレーザーに勝る物理的障害はないはずで。


だとすれば、あとは僕が、妨害を退けていかにきちんと正確に動かせるかにかかっていて。


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