あひるの仔に天使の羽根を


正直言うとね…


もう大分、記憶が薄れているの。



だけど少しでも長く、あたしは皆を…櫂を覚えていたくて。


必死に頭振って思い出そうとしているんだけれど。



少しでも長く――


その記憶に浸っていたかったけれど。



だけどもう駄目だね。


きっとあたしの"偽善"が、あたしの"擬態"が露呈される。


あたしの罪が、公になる。


それを止めることは、あたしは出来ない。



信じていた"永遠"は、真実に還る。


それは――


当然の帰結だったの。



あたしね、皆と会えて本当によかったよ。



あの時。



10個の魔方陣の同時破壊の時。



思わず泣いてしまうほど――


皆が格好よくって、綺麗過ぎて感動したの。


離したくないくらい、愛しく思ったの。



ああ――


あたしの人生での最高は、


こんなに輝かしい皆と出会えたことだなって。



一生分の運と幸せを使い果たしたみたい。
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