あひるの仔に天使の羽根を
 
ねえ、櫂。


あんなに強くて、櫂を信じて慕う皆が傍にいるのなら、

きっと櫂はこの先も大丈夫。


どんなことがあっても、櫂は崩れないよ。


素晴らしい仲間に巡りあえたね。


また記憶無くしたとしても、またすり替えが起こったとしても。

そんな偽りの事象…

また皆が潰して、"真実"を取り戻してくれるから。


それが偽りであればこそ、皆が真実を与えてくれるから。



そう…だから。

あたしはこのまま…きっと皆を忘れると思うんだ。



真実は…1つしかないのだから。


偽りは真実に還るでしょう。


それが世の理だから。




――櫂。


出会ってくれてありがとう。



だけどもう――


あたしは櫂の目が見れないの。



見たらきっと言ってしまうから。



櫂を忘れたくない、って。


本当に大好きだったって。



それは絶対、もう言うことは出来ないけれど。



最後だから。



最後だから、ねえ――


記憶がある内に…あたしに守らせて?

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