あひるの仔に天使の羽根を


――せり。もしも刹那が"永遠"という言葉を発したら、


「そして貴女は、刹那様の"永遠"を気軽に約束してしまった。子供故の…恐らくは無知なる無邪気さで」


――絶対、約束してはいけないよ。


「小さいから、幼いから。そんなことは関係ないんです、各務家では。"異常"の発動は、何を契機に起こるのか判らない。そうでしょう、玲様」


玲くんは…何も答えなかった。



――じゃあせり選んで。オレに食べられるか、



「刹那様にとって、"食べる"ということは"永遠"の愛」



――それとも、オレを食べるか。



あたしは唇を噛みしめる。


今でも思い出す。


狂気に満ちた刹那の瞳。


――そしたらオレ達、永遠に一緒だよ。


"永遠"を掲げて、あたしに舌舐めずりをする様は。


その幸せそうな、恍惚とした顔は。


恐怖。


刹那は、あたしが約束したことで豹変したんだ。



――せりだけは、永遠にオレを好きでいてくれるよね。



あれだけ久遠に言われていたのに。



――せり。約束は絶対的なんだよ。さあ…選んでよ。



だからあたしは――




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