あひるの仔に天使の羽根を
 
「だからあたしは逃げたの。怖くて、凄く怖くて…食べられると思って、刹那の手を払ったの!!! 

そしたら逃げ込んだ中庭で、刹那が!!!」


――ああ、そうか判ったよ。


綺麗な顔が悪魔のように歪んでいき、

にいっと口元を吊り上げて笑って。


――皆が"永遠"の邪魔するんだろ?


――オレが"制裁"加えてあげる。まず誰かな?



「…いつも一緒に遊んでいた旭が…

その異常時も傍に居て…

刹那を必死に制していた旭が!!!」



――刹那様!!?



目の前で引き千切られる旭の翼。



――痛い、痛い、やめて刹那様あああ!!!



肉ごと毟られる純白色は――


真紅の羽根をはらはらと舞い散らせて。



――ああああああ!!!



可愛い、可愛い天使の顔が崩れていく。


哀しみ。


恐怖。



――あはははは。おいしいね、この翼は!!!



咀嚼音。


混ざる粘着音が、動き続ける刹那の口から漏れてくる。


真紅に濡れた唇は、艶めかしく動く舌で拭われ、


至高の味わいだというように、目は陶然と細められ。


地面に打ち捨てられた旭は、絶命していた。



――仲良くしてね、せりかちゃん。



あたしの…お友達が…。



――初めての…旭のお友達。


天使のお友達が――


あたしが、死なせてしまった!!!

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