あひるの仔に天使の羽根を
 

止まらない。


刹那の解放された感情は留まらない。



――せり。心配しなくていいからね。


にっこりと微笑む姿は刹那なのに。


――オレだけは君の味方だよ?


「刹那は笑いながら金緑石を取り出して…握力でそれを2つに割ると」


――気に食わないな、久遠のその目!!!


「久遠の両目にそれをねじ込んだの!!!」


久遠の悲鳴。


抑えた両目から流れる真紅色。


「泣き叫ぶあたしに、久遠は……」


――大丈夫。金緑石はオレが奪ったから。だけどごめん。ここまでのものは…オレでは消せないから。


久遠から放たれる黒い光。


――言霊の力で上書きする!!!


「呪文を唱えた久遠は叫んだの」


――せりの邪痕はオレに移した!!! お前が力で縛れるのはオレだ!!!


途端に、空気が震えてあたしの身体に何かが走って。


――何をする、久遠!!?


――馬鹿かお前は!! せりを…闇属性にする気か!!?


あたしの邪痕が消えていって。


痛みも苦しさもなくなって。


「久遠は…金緑石と言霊の力で、あたしの邪痕を消したの!!!」


刹那の…狂ったような咆吼。


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