あひるの仔に天使の羽根を
・追憶 煌Side
煌Side
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「桜!!!?」
突然――
桜が絶叫を上げたから、俺は吃驚して振り返る。
すると今まで視界を走り回っていた小さな漆黒色は、両手で…髪を引き千切るかのように鷲掴みにして仰け反り、空に向けて声を振り絞っていて。
「ああ、くそっ!!! 邪魔だ!!!」
俺の動きを制するかのように襲いかかる大量の屍を、旋回した偃月刀で切り裂いて撃退しながら、俺は片手で桜の細い身体を抱き留める。
「桜!!? おい!!!」
桜の様子が明らかにおかしい。
目の焦点が合っていない。
顔が蒼白を通り越して、真っ白で。
異常過ぎる汗をかいていて。
「やめろ、やめろ、僕は…僕は!!!!」
恐怖の体現。
「やめてくれええええ!!!」
桜が…
無感情の桜が、"恐怖"…?
その時、また屍達が押し寄せて。
元より斬っても死なない厄介な奴らだけれど。
塔の入り口を守っていた俺達が、その任務を放棄すれば、屍は俺達か入口かの2方向に詰め寄せるのは必須で。
死なねえ奴らの数は膨れあがるばかりで。
振り回し続けた、俺の偃月刀。
これ1つで、何処までこの状況を切り抜けられるか。
息絶え絶えの俺の体力で、こんな桜を庇い…何処まで突っ走れるか。
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「桜!!!?」
突然――
桜が絶叫を上げたから、俺は吃驚して振り返る。
すると今まで視界を走り回っていた小さな漆黒色は、両手で…髪を引き千切るかのように鷲掴みにして仰け反り、空に向けて声を振り絞っていて。
「ああ、くそっ!!! 邪魔だ!!!」
俺の動きを制するかのように襲いかかる大量の屍を、旋回した偃月刀で切り裂いて撃退しながら、俺は片手で桜の細い身体を抱き留める。
「桜!!? おい!!!」
桜の様子が明らかにおかしい。
目の焦点が合っていない。
顔が蒼白を通り越して、真っ白で。
異常過ぎる汗をかいていて。
「やめろ、やめろ、僕は…僕は!!!!」
恐怖の体現。
「やめてくれええええ!!!」
桜が…
無感情の桜が、"恐怖"…?
その時、また屍達が押し寄せて。
元より斬っても死なない厄介な奴らだけれど。
塔の入り口を守っていた俺達が、その任務を放棄すれば、屍は俺達か入口かの2方向に詰め寄せるのは必須で。
死なねえ奴らの数は膨れあがるばかりで。
振り回し続けた、俺の偃月刀。
これ1つで、何処までこの状況を切り抜けられるか。
息絶え絶えの俺の体力で、こんな桜を庇い…何処まで突っ走れるか。