あひるの仔に天使の羽根を
久遠の中に居る刹那。
だどそれは久遠でもある。
穏やかな瑠璃色たる刹那と、気性の激しい紅紫色の久遠。
その本性は真逆かも知れないと、思わなくもないけれど。
正反対の色合いが、溶けて1つの色となる。
あたしが此の地に足を踏み入れたのは運命。
あたしは刹那との…彼らとの"永遠"の約束を果たさないといけない。
彼らを異常者だというのなら、あたしだって異常者だから。
無関係だと…見過ごすことは出来ないんだ。
自分可愛さに、ただ助かりたい一心で、あたしは多くの人達を犠牲にし過ぎた。
"約束の地(カナン)"という土地は、言わばあたしが作った偽りの楽園。
そこで"生"を受ける者達の苦しみを、あたしは負わねばならない。
――せりかちゃん、おねがいします。
どんなことがあっても、あたしはもう逃げてはならない。
約束の履行こそが、あたしのすべきこと。
時間がかかったけれど、それであたしは終わりにしたい。
皆の苦しみを解放してあげたい。
それがあたしに出来る贖罪だから。
その前に――
あたしがすることがある。
それは――
「もういいでしょう!? もう…無関係な人達を解放して!!!」
そこであたしは、
ゆっくりと櫂を見た。