あひるの仔に天使の羽根を

・強硬 玲Side

 玲Side
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「何で――

芹霞を諦めるんだよ!!!?」



櫂なら。


絶対櫂なら何とか出来ると。


そう思っていたのに!!!



「芹霞が好きだろう!!?

奪えよ、早く!!!

久遠から奪ってくれよ!!!」


判るんだ。


僕の言葉じゃ芹霞は動かないってこと。


"永遠"が絡めば、僕は追い出されるって事。


だって、君は真っ直ぐに櫂だけを見たのだから。


だけど僕は――


「諦めたくないのは、お前だって同じだろ!!?」


その上で、君が好きだから。



だけど――

櫂は動かず。


そして芹霞は、櫂から顔を背け、またぼんやりとした表情をして、頭を振る回数を多くして。


今、どこまで明瞭な僕達との思い出があるのか。


消え去る僕になるというのなら。


櫂が動かないというのなら。


僕は僕なりの方法でやるしかない。


君が好きだから。


本当に好きだから。


例えどんな手を使っても――


「玲くん!!?」


君を奪う。


僕は芹霞を左手で強く抱きしめ、その額に唇を落としながら…

右手を久遠に向けた。


紫堂の電気の力はまだ、回復出来ていない。


外気功。


僅かな時間でダメージを与えられるのはそれしかない。



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